皐月が浜

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月曜日、午後半休を取ってもう一度家に帰った。 自分の家へ帰るのにとてつもなく緊張していた。 ドアを開け家へ入る。 リビングに行くと花乃がいた。 ソファーに座っていた。本を読むでもなく、テレビを見るでもなく、ただ座っていた。 オレは花乃の前に跪いた。視線が合う高さのはずなのに花乃と視線が合わなかった。 「花乃…?」 オレは花乃に言った。、 「花乃、本当にごめん。オレがしたこと全部。許してくれなくていい。ただ、謝らせて。」 花乃がこっちを向いた。 「ゆうちゃんのしたこと許せるかわからない。」 花乃の目は真っ直ぐオレを見ていた。 揺らぎもなく真っ直ぐに。 「でも、まだゆうちゃんが好き。」 そう言った花乃の目から見る見るうちに涙が溢れた。 「花乃っ…傷つけてごめん。苦しめてごめん。」 気づけば花乃の手を取って泣いていた。 「帰ってきてくれてありがとう。」 そんなこと言われる価値オレにはないのに。 「花乃…。本当にごめん。」 花乃の手が優しくオレを撫でていた。
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