皐月が浜

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その夜、花乃に二人目の子が宿っているとを聞かされた。 「本当に…?」 オレが訊くと花乃は微笑んで頷いた。 エコー写真にははっきり白い丸が写っていた。写真の上ではただの白い丸なのにとても愛しく思えた。 「洸太に…っ」 「洸太にはまだ内緒。」 ピシャリと言われた。 「まだ安定期ではないし、ちゃんとしたタイミングで言いたいの。」 そうだよな…。でも洸太、聞いたら喜ぶだろうな。 早くその顔を見たかった。 花乃の隣で眠っている洸太。あどけない表情で寝息を立ててる。大切な物が増える喜びが沸々と湧いてきた。 「それともう一つ、言わなきゃならないことがあるの。」 花乃は言った。 彼女の言うことはなんでも受け入れるつもりだった。 もう絶対に悲しませない、苦しめないと誓ったから。花乃の決断に従う。 オレは花乃の言葉を待った。 花乃は一度視線を逸らし、決意したように再びオレを見て言った。 「ゆうちゃん、綾ちゃんと一緒にいてあげて。」
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