前田優太

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高校に入ると山部と出会った。 山部はオレのことを「残念なイケメン」と言ってきた。山部からするとオレは欠点がたくさんあるらしかった。「お前はイケメンだから」って羨んできたり、僻んだりしない。 野球部でいつも真っ黒に日焼けしていて、坊主頭。俺も背が高いほうだけど、俺より2センチ背が高かった。 ユーモアのセンスがあって、クラスのムードメーカー的存在。 裏表がなくていいことも悪いこともなんでも言葉にする。 「オマエの絵、すげー下手だなっ!」 「優太って言うこと基本つまんねーw」 「オマエ優しいよな!ありがとう!」 顔がいいと言われるより内面を褒めてもらうとうれしかった。 山部に出会った頃には見た目を褒められることも素直に受け取れるようになっていた。 「ありがとうございまーす!」 とか 「自分ではわかんないなー」 とか 「いやいやー」 なんて謙遜したり。 相手はオレを褒めたくて言ってるんだから喜んであげればいいやと。 山部ともう一人、オレを特別扱いしないヤツがいた。 綾だ。
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