前田優太

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岩瀬さんとは大学も学部も一緒だった。 同じ高校だったということでなんか仲間意識みたいなものがあって会うと声をかけるようになっていた。 岩瀬さんはオレのことを好きかもしれないというのは心のどこかにあったけど、気のせいだろと自分に言い聞かせていた。 山部も地元にいたけど学校は違った。 ああ見えて金持ちだから親に車を買い与えられて乗り回していたのでよく乗せてもらった。 山部はまだ岩瀬さんが好きだと言ってた。 それなのに告白は無理だと言う。 高校のときには後輩から告られたり、専門学校でも同級生と付き合ったりしてたのに、別れると「やっぱ岩瀬さんだ」と言って諦められないようだった。 オレのことを岩瀬さんとの「唯一の接点」と言って利用して、食事に誘ったり、ドライブへ行ったりした。 岩瀬さんも断らず出かけてくれて楽しそうだった。 リアクションが控えめだけどたまに笑うと可愛くて、そのギャップでドキッとさせられた。 山部が好きだと騒ぐのもわかるな。 なんて思った。
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