前田優太

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オレはオレで彼女ができた。 高校時代のクラスメイトの秋川という女子に誘われた飲み会で出会った子だった。 初めから何故か目がいって気になった。 楽しそうに喋るし、明るいし、気が合うかもなんて思った。 その場にいた全員が連絡先を交換していて、後日メールで告られて付き合う事になった。 東京に住んでいた子だったから遠距離恋愛。 でも付き合うことになってすぐに会いに来てくれた。 久しぶりに「彼女」という存在がいる感覚。 オレの横にいる「彼女」。 ーーー楽しいはずなのにずっと何かが引っかかっていた。 彼女がせっかく遊びにきてくれても田舎な地方都市だからたいした見所もなくてふらふら歩いてたどり着いた公園のベンチに2人して座った。 すると彼女から手を繋いできた。 「へへ。」とオレを見て照れくさそうに笑った表情にドキッとした。 けれど、オレと目が合うと視線を大きく逸らして手のひらで顔を覆い 「ヤバい…。かっこよすぎて顔見れない…。」 とか 「こんなカッコいい彼氏ができるなんて沙耶に感謝だよー。」 とか言われて戸惑った。 褒めてくれてうれしいけど、また一つ違和感が大きくなった。 「せっかく会いに来てくれたのに顔見れないって…。」 と笑ってみたけどなぜかうまく笑えなかった。 せっかく来てもらったけど、もう家に帰りたい。 そんな気持ちになって 「今日は何時までいられるの?」 と聞いてみた。 彼女は「んー」と間を置いてから 「今日は一応泊まるつもりで来てるんだけど…。」 と答えた。
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