前田優太

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だけど、綾を忘れられないままというのも不健全だと思って告白されたうちの何人かと付き合った。 でも結局誰とも上手くいかない。 「一緒にいてもつまらない。」 「私といても楽しくなさそう。」 「やりたいだけでしょ。」 別れの理由は大体同じようなもので、もう自分ではどうしようもなかった。 好きだと言われて、好きだと思って付き合い出したのに、どうせ別れるんだよなとどこかで考えてしまう。 本当に好きかと聞かれると答えられない自分がいた。 虚しい恋愛を繰り返していた。 綾を忘れていない。認めざるを得なかった。 ただ、綾とは一切連絡を取っていなくて当時どうしているのかも知らなかった。 会いたいとは思わなかった。 再会してもまた急に綾の気持ちが離れてしまったら?そんなの二度と耐えられそうになかった。 そんな中でも、山部や岩瀬さんと過ごす時間は楽しかった。 ズバズバものを言う山部と、穏やかな岩瀬さん。 山部は相変わらず岩瀬さん一筋なのにどうして告白しないのか不思議だった。 岩瀬さんに告白しないまま…。 それなのに岩瀬さんも呼んで3人で遊ぼうと言ってくる。 何でもそつなくこなす山部が恋愛となるとオレと同じくらい「残念」なヤツだと思った。
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