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ラーメンの器に残ったスープの無数の油の輪を眺めながら、山部に聞いた。
「山部…、オレが岩瀬さんを好きになってもいいの?」
山部はハッと息を吐いてから答えた。
「いいんじゃない?それしか、俺が岩瀬さんを諦める方法ないと思うよ。」
顔を上げると山部はこっちを見ていた。
今まで見たことない悲しそうな表情。
「オレすげーやな奴だな。」
罪悪感が込み上げて言った。
「いや、優太は岩瀬さんを好きになると思ってたよ。それなのに俺が岩瀬さんを好きだと言い続けて邪魔したんだ。やな奴は俺だよ。」
違うよ。悪いのはオレだよ。
山部、本当にごめん。
口には出さなかった。謝られるの嫌だろうと思ったから。
「とか言って、岩瀬さん、実は優太のこと好きじゃなかったりして!したらウケんな!俺ら二人で何言い合っちゃってんのってなるよなっ!」
山部がニカっと笑って言った。
オレもつられて笑った。
「だよな…。オレなんてすげー自意識過剰。」
「じゃ、来週のクラス会も“仲良く”3人で行こうな!」
わざとらしく言う山部に
「え?タケも一緒に行くとか言ってなかった?」と言ってそこからは普通に、「普通に」。
でも山部と二人だけで会うのはそれが最後になった。
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