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2人で歩き出しても行き先なんて決めてなかった。
ただ、やっと掴んだ手を離したくなかった。
ちゃんと好きだと思える人が現れたら、今度こそオレがどれだけ想っているのか伝えようと決めていた。
伝えなきゃ、相手に寂しい想いをさせるかもしれない。
伝えなきゃ相手を不安にさせるかもしれない。
心が離れてからじゃ伝えられない。
「岩瀬さんは、ずっと特別だったよ。」
ずっと近くにいてくれて、オレを想い続けてくれた。
柔らかい笑顔にいつも癒された。付き合ってたわけでもないのに特別だと感じていた。
「特別で大切だから触れられなかった。一生懸命気づかないフリして…。」
オレはオレ自身にすら素直になれず、いっぱい言い訳して、遠回りしたけど…
オレを見上げる潤んだ瞳
冬の外気に赤くなった頬
無防備な唇
全てが愛しくて、気づけばキスしてた。
抱きしめると暖かくて、互いのコート越しでもわかる火照りはアルコールのせいだけじゃなかった。
やばい。
どうしよう。
好き過ぎる。
堰を切って溢れ出した気持ちに戸惑った。
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