前田優太

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時間帯もあり、ホテルは混んでいた。 けど一番スタンダードな部屋が空いていたのでそこを選んだ。 岩瀬さんは珍しそうに、キョロキョロとしている。 これからすることわかってるよね? 無邪気な様子に少し心配になった。 考えてみれば彼女も酔っている訳だし。 部屋に入ると、そこにはもちろん、ベッドがあった。 それを見て岩瀬さんは急に表情が硬くなった。 「わわ私、よく考えもせず、すごいことを言いましたね。」 なぜか敬語になった岩瀬さん。 「…そうですね。」 彼女に合わせて敬語で答えてみた。 そのまま岩瀬さんの方を向き言った。 「でも、もう何を言われてもやめられません。」 オレの言葉に岩瀬さんが顔を真っ赤にして狼狽える。 「え、あの…。」 かわいい。 「もう、あなたが欲しくてたまりません…」 「…っ。」 岩瀬さんはいよいよ何も言えなくなった。ただ顔を赤くして動かなくなった。オレも自分の顔が紅潮してるのを自覚していた。オレだってこんなあからさまなこと言ったことなかった。 岩瀬さんの中のオレはそんなこと言う男じゃ無かったのかもしれない。 岩瀬さんを抱き寄せてその耳元で囁いた。 「でももし嫌ならやめるよ?」 岩瀬さんが断れないのをわかってて訊いた。 岩瀬さんは返事をしないまま、オレの背中に手をまわした。
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