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夕涼み会
土曜日の朝。
今日は洸太の幼稚園の夕涼み会。
会自体は夕方の5時からなんだけど、役員の私は午前中に1時間ほど準備のため幼稚園へ行かなければならなかった。
ゆうちゃんが、休みの日はいつものんびりな土曜日の朝なのに私1人バタバタと支度していた。
「ゆうちゃん、ごめんね。私もう出るから、洸太が起きたら朝ごはん食べさせてあげて!」
「ーーん。」
まだ寝起きで、ぼんやりしたままのゆうちゃんは自分のお腹をぽりぽり掻いてる。
少し気怠るそうなのは昨晩遅くまでしていたせいかな…。
そう気づくと、朝日の当たるリビングでそれを思い出すのは恥ずかしくて、ゆうちゃんのほうをあまり見ないようにして玄関へ向かった。
玄関で屈んで靴を履いていると、背中がズシリと重くなってゆうちゃんがおぶさるようにくっついてきた。
「わっ!」
驚いたのと、ゆうちゃんの重さでバランスを崩したのとで前に倒れそうになった瞬間、長い腕に後ろから抱えられてそのまま引っ張り上げられ、気づけば立ちあがっていた。
振り返ると戯けた顔のゆうちゃん。
「もー!なにするのよ!」
口を尖らせて抗議すると嬉しそうに笑ったゆうちゃんは私のおでこにキスをした。
「いってらっしゃい。」
優しく言われたらもう許すしかないじゃない。
「1時間くらいで戻ってくるからね。洸太のこと着替えもさせてね。」
「りょーかい!」
わかっていることだったと思うけどなんとなく心配で色々言ってしまう私にも、ゆうちゃんは穏やかに笑って返事をしてくれる。
ゆうちゃんに見送られて家を出ると、愛車のママチャリにまたがり幼稚園へと漕ぎ出した。
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