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「ひろき先生、おはようございます!」
山部くんをひろき先生と呼ぶことにもようやく慣れてきた。
すると、山部くんが少し深刻な顔になって近づいてきた。
「岩瀬さん、ちょっと知らせときたいことがあって…。」
いつも「前田さん」と呼ぶのに、久しぶりに旧姓で呼ばれてドキッとした。
「…はい、なんでしょう。」
洸太、幼稚園で何かあったのかな?思わず身構える。
「実は、オレのクラスに…。」
山部くんが言いかけたところで
「ひろきせんせーーい!ちょっといいですかー?」
遠くから園長先生の声が聞こえた。
山部くんは、この園で唯一の男の先生なので他の先生達にも頼られていた。
「ごめん、また後で!」
そう言うと山部くんは園長先生の方へ走って行ってしまった。
何を言おうとしたのかな…。
小さな不安が残った。
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