再会

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再会

side優太 洸太を連れて公園に来た。 日曜の朝だからか、もう人がたくさんいた。 ここは結構広い公園で、遊歩道があったり池があったりする。 犬の散歩をする人、腕を大きく振りながらウォーキングをする人。ベンチに座って本を読む人。 オレは遊具の前のベンチに座って洸太が遊ぶのを見ていた。 みんな思い思いの朝を迎えているんだなーなんて考えながら、花乃のことを想った。 花乃…熱下がったかな。 昨日の夜中、花乃の保冷枕を取り替えてあげようと寝室に入ったらかなりうなされていた。 枕を替えて部屋を出ようとすると「ゆうちゃん」と声がした。振り返ると、花乃は目を瞑ったままだった。 それでも何度もオレを呼ぶのは何か夢を見ているらしかった。 すごく辛そうでどんな夢を見ているのか心配になった。 「花乃…ここにいるよ。」 丸い額をそっと撫でるとすごく熱かった。 幼稚園で夕涼み会の準備って他の親や先生たちにも気を遣って大変だったんだろうな。 花乃のことだから無理して余計な仕事まで背負い込んでいたのかも。 それに加えて家事に洸太の世話にと完璧にこなしていた。 高校の文化祭の準備中、1人で沢山の作業を抱えて困っていた花乃のことを思い出した。 花乃が無理してること、もっと早く気づいてあげられたら良かったのに…。 1人反省しているオレを他所に、洸太は無邪気にブランコを漕いでいる。 「パーパー!見てー!すごい高いよー!」 少し前までは、うまく漕げなくて背中を押してとぐずっていたのにあっという間に上手になったな。 手を振って洸太に応えた。 オレが見ているとわかって満足気な洸太はさらに高く大きく漕ごうと脚をブンブン振り上げた。 「ーーあ。」 揺れるブランコを見ながら思い出した。 夕涼み会の前の晩。 花乃と飲んでいて昔の話になって…。 昔と変わらず恥ずかしがる花乃が可愛くて、 盛り上がってかなり激しくしてしまった。 うわー。何してんだオレ。 思わず顔を両手で覆う。 「パーパー!ちゃんと見ててよー!」 洸太に言われ、なんとか顔を上げてヒラヒラと手を振った。 洸太…。 上手に漕げるようになったね。 ただパパは今猛省中だ…。
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