再会

6/8
前へ
/153ページ
次へ
「山部からは優太の子が同じ幼稚園にいるって聞いてたんだ。」 時折、マナちゃんの口を拭きながら綾が話し出した。 「だからこんなふうにどこかで会うかもなーなんて思ってた。」 オレは溶けかかったアイスを食べ始めていた。 「東京にいたんだ?」 やっと平静を取り戻したオレは綾に訊いた。 「そう。でもずっといたわけじゃなくてあちこちしてたかなー。」 それを聞いて思わず笑った。 「綾らしいな…。」 コーンの紙を捲りながら言うと視線を感じた気がして綾の方を見たけど、 綾はマナちゃんの手についたアイスを拭いていた。 「すっかりお母さんだね。」 そんな綾を見て言った。 「そっちこそ、すっかりお父さんだね。」 そう言われて洸太を見たら、顔中アイスまみれになっていた。 「うわっ!どうやったらそんなになるんだよ!」 また綾にティッシュを貰って急いで洸太の顔を拭いた。 綾はオレ達を見て楽しそうに笑っていた。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

263人が本棚に入れています
本棚に追加