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「ーーじゃあ、私たち食べ終わったから…。」
そう言って綾とマナちゃんが席を立った。
「…ああ。」
返事をしながら
なぜか引き止めたいと思ってる自分がいた。
それはやましい気持ちじゃなくて
久しぶりの顔に懐かしさを感じてるから、
だと思う。
「はい、これ。」
席を立った綾はオレのとこにきて、ポケットティッシュを差し出した。
「まだ必要そうだから。」
洸太をチラッと見て言った。
洸太はコーンの先から溶け出てしまったアイスに苦戦していた。
「ありがとう、助かるよ。」
ポケットティッシュを受け取った。
「じゃあね。洸太くん。」
綾が言うと
「バイバーイ。」
洸太がアイスまみれの手を振った。
綾はマナちゃんと手を繋いで歩いて行った。
オーバーサイズのTシャツにジーンズとラフな格好でも陸上をやってた頃のままの体型だとわかる。
あらから15年近く過ぎてるからお互い年取ってると思う。
でも喋り出せばあの頃のままだった。
醸し出す空気感とか会話の間とか。
細かな一つ一つにあの頃が蘇る。
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