佐伯綾

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真依子は運動神経が無さすぎて体育の成績も悪いからと、その年の体育祭の運営委員に立候補した。 少しでも点数稼ぎになればと思ったみたい。 クラスで1人必ずならなきゃいけないのに当日の雑務が多くて、誰もやりたがらない役だったから満場一致ですんなり決まった。 体育祭の一週間前 昼休みに運営委員会があった。 ダルいと文句を言ってた真依子が、帰ってくると上機嫌になっていた。 「ヤバイヤバイ!運営委員に王子がいた!」 「おうじ?」 「は?綾、知らないの2組の王子!前田なんとか!」 そんなに喜んでおいて名前覚えてないんだ…。真依子の記憶力が少し心配になった。 「しかもウチ、同じ競技の担当なんだけど!仲良くなれるかも!」 そして体育祭当日、真依子は右足にギブスをつけ松葉杖をついて現れた。 「え!どうしたの…?」 真依子は半べそをかき始めた。 「折れたー!」 「…どこで!?」 聞くと、朝早く登校してきてすぐ、昇降口の階段でつまずいて転んだらしい。うちの学校の昇降口の階段は3段だけなのにあそこで骨折なんてするの!? 「ウチこの足じゃ運営とか無理だよー。」 真依子に泣きつかれて仕方なく代わることにした。 真依子に運営計画書を見せてもらって一通りの流れとやることを頭に入れた。
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