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担当競技の集合時間になり再び運営のテントへ向かうと、そこには背の高い男子がいた。
あれが王子かな?
私が体育教師にセクハラされながら用意した備品の数をチェックしてるようだった。
無駄な労力は使いたくないと、置いてあったパイプ椅子の上で膝を抱えて座った。
「前田クーン!それもう確認してあるよー!」
教えないのは可哀想かなと思い言ったけど、どうやらわかっていての最終チェックらしい。
王子はかなり真面目みたいだ。
骨折した可哀想な真依子のために名前を聞いておいてあげよう。
「前田くんって下の名前なに?」
すると彼は顔を上げた。
想像以上に整った顔で驚いた。
「優太…。」
「ゆーたっ!」
なぜか復唱してしまった。
いきなり名前で呼んでしまった。
少し驚いた顔の彼を見て急に恥ずかしくなった。
そんな私を見た王子…優太はくしゃっとした笑顔を見せた。
心臓がドキンとなった。
真依子に殴りかかられたときよりも確実にドキドキしていた。
つまらなかった毎日が、真依子に出会って、優太に出会って色づきだした。
この時、私はもう恋に落ちていた。
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