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優太が気になって仕方なかった。
背が高いから遠くからでもすぐに見つけられる。
サラサラとした髪に触りたい。
大きな背中に抱きつきたい。
「綾、王子のことめっちゃ好きじゃん。」
真依子にあっさり指摘されるほどだった。
真依子は優太のこと「よく見たらウチのタイプじゃないわ」と言って特に気にしていなかった。 それどころか体育祭の数日後にできた新しい彼氏に夢中だった。
「うん。すごい好き。今までで一番好きかも。」
真依子の指摘に私が答えると
「やっぱー?ウチ恋愛関係だけはよくわかるんだよねー」
真依子が得意げに言った。
優太はとにかく真面目で優しかった。
私が何をしても怒らない。
「もー」と言いながら優しく笑うだけ。
イタズラするとリアクションもいちいち面白くて可愛い。
私を見てほしい。
私を気にしてほしい。
私の気持ち気づいてほしい。
家に帰れば暗い部屋に不機嫌なママがいるだけ。
学校で、優太といる時が一番明るくて楽しい時間だった。
あ、真依子との時間ももちろん楽しかった。
真依子は本当マイペースで休み時間に1人でも平気な子だった。私がいなければお菓子を食べたり、早弁したり、寝てたり、帰ってたり。
真衣子とはずっと一日中べったりな女子女子した感じではなくて気が楽だった。
そんな関係は昔から苦手だったから。
だから私は遠慮なく優太のクラスに行きまくっていた。
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