佐伯綾

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優太と人気のない渡り廊下に来た。 すると先を歩いていた優太が振り返り両手で私の手を握った。 優太の手、すごく熱い。 握られて嬉しいのか恥ずかしいのかわからない。 照れ隠しでまたバカなことをしてしまいそう。 「オレも綾が好き!」 「……っ。」 ストレート。優太らしかった。 「オレ達、付き合おうよ!」 私は気持ちを伝えるまであんなに時間がかかったのに あっさりそれを言ってくれるんだね。 捻くれ者な私でもここは流石に頷いた。 真っ直ぐにこっちを見ていた優太の目がくしゃっと細くなってお互い笑顔になった。 付き合って、彼女になった私には優太の近くにいる理由ができた。 幼稚なイタズラをして困らせなくても優太は私を見てくれる。 優しい目をして、私の話を聞いてくれる。 嬉しくていつも優太の教室へ行った。 優太のクラスの女子の中には 「うるせー」とか 「自分のクラス帰れよ」とか 聞こえるように言う子もいたけどそんなの全く気にならなかった。 だって優太の近くに居たいんだもん。 ただそれだけ。
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