佐伯綾

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あんなに頑張っていた部活があっけなく終わってしまって、気を紛らわせたくてバイトを始めた。 何よりお金が必要だと感じていた。 採用されたコンビニではたいして稼げなかったけど、仕事はすぐに覚えられたし、他のバイトも若い人が多くて気が楽だった。 ただ、オーナー店長は気持ち悪かった。 「女子高生の制服!いーねー!」 「うわぁ、肌すべすべだね。触りたいな。」 セクハラ発言がどんどんエスカレートしていた。 その店長の奥さんも性格悪くて、初めて言われたことを「前も言ったでしょ!何でやってないのよ!」と怒られたり、機嫌が悪いとドンドン音を立てて威嚇してくるし、カウンター内でわざとぶつかってくるし、最悪だった。 そんな時、よくシフトが被る大学生の相良さんと休憩室で話す機会があった。 奥さんの文句を言ったら 「んー。しょうがないねー。綾ちゃん、店長のお気に入りだから奥さん妬いてるんだよ。」 そんな気持ち悪い理由で、と言葉を失っていたら、あることを教えてくれた。 「あの人、他所でもパートしてるから月木だけここで働いてるんだよ。気づかなかった?あのおばさんと働きたくなければ月木休みにしなよ。」 その翌月から塾に行くからと嘘をついて月木は休みにした。部活もなかったから月木は優太と一緒に帰れる日になった。
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