佐伯綾

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優太のハグはいつも優しかった。 私はガラス細工みたいにそっと抱き締められた。 抱き合った後、離れると優太の顔は必ず赤くなってた。 大切にされてることわかってたのに。 もっと強く抱きしめてよ もっと私のこと求めてよ 一人で不満を抱いてた。 ーーーー最後の握手。 差し出した手を強引に引っ張られて 思い切り強く抱きしめられた。 痛いくらいに。 優太… こんなに力強かったんだ ちゃんと私のこと求めてくれてたんだ 優太、一生懸命大切にしてくれてたんだ 最後の最後にこんなハグ。 うれしくて思わず抱きしめ返したくなっちゃうよ。 でも一緒にいても、きっとまた苦しくなるから 今度は私が優太を苦しめてしまうかも知れないから そっと、離れた。
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