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夕食を食べ終えて、お風呂に入って、就寝前ののんびりした時間。 私達夫婦はソファーでテレビを見ながら、ときどきおしゃべり。洸太はテレビの前のフローリングに沢山のミニカーと道路のオモチャを並べて遊んでいた。 小さな道路にはミニカーの他にカブトムシのキーホルダーや、ぬいぐるみまで並んでいて面白い。 時計を見たゆうちゃんは「あ!」と言って 「ちょっとチャンネル変えるね」と腕を伸ばしてテレビのリモコンを取ろうとした。 その時に私に被さるような格好になり、ゆうちゃんと私の顔がすごく近づいて目が合った。 あ…。キスされる。 でもリモコンを取るとゆうちゃんはそのまま姿勢を戻した。 「言ってくれたら取ったのに。」 私が言うと 「だーいじょうぶ!腕長いから。」 と笑ってチャンネルを変えた。 ちょうどテレビで昆虫の特集が始まった。 「わー!ヘラクレスオオカブトー!」 洸太はすぐに気づいて画面に近づいた。 「この番組、洸太が虫好きって言ったらさ、会社の後輩が今日やる事教えてくれたんだ。」 とゆうちゃんは説明してくれた。 「そうなんだ。」 テレビの画面にこの後出てくる昆虫が次々に大きく映し出されていた。 「洸太ー、もう少し離れて見なよ。」 ゆうちゃんが洸太に声をかけた。 「わ!こんな色の虫もいるんだ!」 ゆうちゃんも楽しそうに見始めた。 私は本来は小さいはずの虫が、テレビ画面に大きく映し出されて気持ち悪かった。
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