きんいろ。

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まだ大して仲良くなかったし、江川くんの言うように葵がわたしに懐くような兆しもなかった。 わたしと葵が友だちになったのは葵から寄ってきたからだと江川くんは勘違いしているけど、本当はちがう。 葵が江川くんの好きな人だから、近くにいれば目に映るかもしれないだなんて、浅ましい考えの上に生まれた友情だってこと。 今はちゃんと、葵のことも大切になってる。 葵には、わたしは江川くんのことが好きで、最初はそういうつもりで葵に近付いたことを伝えてある。 葵がわたしにお膳立てしてくれるのは、あの子があんまり優しすぎるからだ。 ごめんね、ありがとうね、と何度繰り返したかわからない。 うらやましい。 一年越しに、まだ江川くんの心を捕らえている葵のことが。 わたしがどれほどきんいろに焦がれて、その色を綺麗だと言ったとしても、江川くんには届かない。 葵が好きだと言った、光に透くのではなく光を弾く、もっとちゃんときんいろに近付いていく。 夏休みが明けたら、きっと今日のようなきんいろはもう見られない。
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