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私には双子の姉がいる。いや、正確にはいた。
高校入学を目前に控えた春休み、姉は交通事故で亡くなった。
楽しみにしていた高校生活、これから姉の人生が広がるハズであったろうに、さぞかし無念であったことであろう。
亡くなった双子の姉は妹の私とは違い、文武両道であった。
勉強は勿論、運動神経抜群!特に足が速く、中学時代は陸上部からスカウトが来るほどであった。
口元のホクロがチャーミングな姉。私にはホクロが無く、周囲はホクロの有無で私達双子を見分けた。
妹の私はと言うと…。
勉強はいまいち。運動に至ってはまるでお粗末なものであった。
外見だけが同じで、中身はまるで違う姉妹であった。
優秀な姉がパッといなくなり、いまいちな私が遺るなんて…私にとっても残酷だ。私が代わりにいなくなった方が良かったかも。
そのような陰鬱とした感情に飲み込まれそうになりながらも、姉のいない日常を受け入れようとしていた高校入学式直前。
優秀な姉と、何とか同じ高校に合格していた私は高校の制服に袖を通して、全身ミラーで自分を見る。
そこに映っているのは紛れもなく私…。
いや、違う。亡くなった姉かもしれない…。
双子だから外見は同じ。
残酷にも遺された私なのか、残酷にパッと日常を奪われた姉なのか…。
高校に入学した私。
入学早々、全校模試があった。結果は学年で3位!
3位なんて今までの私の人生で初めてであった。特に勉強していないのに…。
そして自ら志願して陸上部に入部した。何故って?中学の時にスカウトされたけど、その時は入部しなかったから。
え…?スカウト?されたっけ?
とにかく陸上部に入部した私は、早速行われた記録会にてダントツトップの俊足っぷりを周囲に見せつけた。
「さすがお姉ちゃん!」
あれ?お姉ちゃん?
私は妹。姉は亡くなって、もういないのに…。
見える光景がすべて眩しい。
私ってこんなに凄かったっけ?成績も運動もトップクラス!
嬉しいのだけれども、何故か落ち着かない。
私ってこんなに優秀な人間だっけ?
よくわからないけど、とにかく毎日を頑張らなきゃ!
そんなある日、朝学校に行く前に洗面所の鏡で自分の顔を見た。
ふと、口元のホクロが気になった。
あれ?こんなところにホクロなんてあったっけ?
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