ツインズ・スワップ

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「そうだよね。あの子たちだけは、あたしたちのこと絶対に間違えないの。どうしてだろうね?」  アッくんとイッくんとは、ミカとミキの学校の友達で、こちらの二人も双子の兄弟だ。しかし、ミカとミキとは違い、彼らは全然似ていない。アッくんは運動が好きで、イッくんは本が好き。アッくんは赤色が好きで、イッくんは青色が好き。アッくんは授業中いつも居眠りをしていて、イッくんはいつもハイッと手を上げる。二人はあまり一緒にいないし、お揃いにもしない。 「あの子たち変わってるよね」 「ね。双子なのに、別々なんて変わってるよね」  二人でクスクスと笑い合っていると、ママの呼ぶ声が聞こえた。 「ミカー。ミキー。二人とも出かける時間よー」 「はーい」  二人は声を揃えて、元気に返事をすると、互いに目配せをして頷き合う。入れ替わりスタートである。  ママの前に二人揃って立つ。 「あら。ミカ。帽子が曲がってるわ。ちゃんと被り直して。ミキは、鞄が開いたままよ。きちんと締めなさい」  帽子を被り直しながらミカが口を尖らす。 「ママ、あたしはミキだよ」 「ママ、あたしはミカだよ」  鞄を締めながら、ミキも口を尖らせてみせる。
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