5人が本棚に入れています
本棚に追加
「あら。ごめんなさい。二人とも気をつけて行くのよ」
ママは、頬に手を当てて、あらっと首を傾げながら、二人の背中を押して送り出した。
ママはたまに双子を間違える。ただ今日は本当は合っていたのに、双子のいたずらに振り回されて、やっぱりちょっと混乱してしまったみたい。そんなママの姿に、二人はクスクスと笑い合う。
「大成功だね」
「だね。やっぱり私たちはそっくりなんだね」
学校へ着くと、先生や友だちが次々と声をかけてくる。
「おはよう。ミカちゃん、ミキちゃん。今日も仲良しね」
「おはようございまーす」
双子は声をあわせて元気にあいさつをする。
「ミカちゃん。ミキちゃん。おはよう! 宿題やった?」
「うん。やってきたよー」
「うん。もちろん」
双子はそれぞれに応えながら、ミカはミキの席へ、ミキはミカの席へ座ると、そそくさと荷物をしまう。
そのまま何気ない顔で、周りの友だちと会話をしているうちに、今日の授業が始まった。
「ミカさん。この問題は解りますか?」
先生に当てられたミキは、スラスラと問題を解いてみせる。
「ミキさん。次から読んでください」
先生に当てられたミカも、スラスラと教科書を読む。
誰も二人が入れ替わっていることを指摘しない。きっと誰も気づいていないのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!