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「わたし、ミキよ」
アッくんの前に座りながら、ミカがミキのふりをする。
「わたしが、ミカよ」
イッくんの前に座りながら、ミキもミカのふりをした。
もう、つまらなくなったので、本日の入れ替わりは終わりにしようと思っていたのだが、目の前の二人は、唯一ミカとミキをきちんと見分けることのできる相手。そこで、二人は急遽入れ替りを継続することにした。
二人がクスクスと笑っていると、アッくんとイッくんは不思議そうに顔を見合わせてから、互いに首を振った。
「そんなわけない。ミカは、いつもアップルゼリーを食べてるじゃないか」
「ミキちゃんも、いつもソーダゼリーだよね」
「今日は、ゼリーを交換したのよ」
「そうよ。交換したの」
二人は鼻息荒く否定をするが、目の前の全く似ていない双子たちは可笑しそうに笑う。
「それで入れ替わってるつもりなのか? お前がミカだろ?」
「きみは、ミキちゃんだよね?」
アッくんとイッくんは、確信をもって二人を見分けているみたい。どうして、この子たちには、二人の見分けがつくのだろうか。
「わたしがミキだって言ってるじゃない」
「そうよ。わたしがミカよ」
全く騙された様子のないアッくんとイッくんに、二人は少し不貞腐れたように唇を尖らせながら、同時にスプーンを口に運ぶ。
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