思い立ったが吉日

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思い立ったが吉日

悪友の君島に、彼女が出来た。 その出来事をきっかけに急に付き合いが悪くなった。 朝の通学の時も腕を組みベタベタしやがって、本当に羨ま……、いや、鬱陶しい。 「霞原!」後ろから声をかけられる。振り返ると郷原先輩が男らしく手刀を切る。 「郷田先輩、押忍!」俺は十字を切って頭を下げる。俺は幼い頃から鄕田空手道場で空手を習っている。郷田先輩は、その道場の跡取りで師範代である。 「なんだか、しけた顔をしているな。武道家らしくないぜ!」背中を思いっきり叩かれる。馬鹿力に顔が歪む。 「しけた顔なんかしてませんよ!ただ……」何となく、目の前を歩く君島達を軽く睨みつけてしまう。 「ははん、女だな!あの女が好きだったのか?」脇腹に軽く肘を入れてくる……、が明らかにこれは肘打ちであった。 「ち、違います!あんな女の子知りませんよ!」 「なんだ、じゃあ男のほうか?」少し退いている。 「何、馬鹿な事を言っているですか!?俺はただ……」言葉に詰まった。 「もしかして彼女でも欲しくなったのか?」「そ、それは……」図星を突かれた。 この世に生を受けて17年、俺は未だに彼女というものが居たことは無かった。もちろん、彼女が欲しくないというわけでは無く、そういう機会が無かっただけだ。 「もしも、彼女が欲しいなら……」 「よし!俺決めました!!」先輩の言葉を遮り俺は決意してしまった。 「急に、どうしたんだ?」 「俺、彼女を作ります!」無意識に、今までに無い位に強く拳を握りしめていた。
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