ホラー色の砂たち:4‥‥「おーい」

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「すいません。こちらの店先に出てる部屋のことですが‥‥」  サラリーマンのタクミが、その部屋を見付けてしまったのは、蒸し暑い上に雨の降る、夏の午後6時のことだった。  転勤で入居予定だったマンションの部屋が、雨漏りすることが判ったためだった。  B駅に近い不動産センターの店先で、その物件を見付けたタクミは、 「こんなん、あるんだ‥‥」  閉店まじかなのに、その広告に注目していたら、急に照明が消えたので、慌てたタクミは店内に駆け込んだ。 「すいません。あそこの広告にあった、家賃5000円のマンション、頼みたくて」  すると店長は笑顔で、 「はいはい、いいですよ」  とは言ったが、笑顔はそこまでで、 「ただ‥‥あの部屋には、ちょっと問題があってね‥‥」  タクミは察して、 「あー、いわゆる事故物件ですか? まぁ家賃5000円なら‥‥仕方ないかなぁ‥‥」 「そのへん、ちょっと違うんだけど‥‥」 「まぁいいですよ。少しくらい我慢します。とにかく部屋を探してるので」 「そこまでおっしゃるなら‥‥。分かりました」  こうしてタクミは、その『訳あり物件』に住むことになった。
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