恋花火

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 ドーーーン…………!!  一際大きく、それは見事な三尺玉の牡丹花火が、暗い夜空を美しい紅に飾って散るのを私は、響哉の隣でただ見上げている。  辺りの人いきれ。蒸した空気。熱帯夜。  去年とも一昨年とも同じ今年の夏。  幼かったあの十二の夏からずっと続いてきた夏。  けれど、それはもう二度と巡ってはこない……。  冷たい涙が頬を伝って、流れ星のように落ちてゆく。  私の心の中へと消えない想い出として、いつまでも。
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