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「あの店。あそこでまず腹ごしらえしよう」
そう言って、響哉はテントを張った広い屋台を見つけると、店頭に張り出してある品書きを見上げた。
「果帆、何にする?」
「私は広島焼きと烏龍茶。響哉は焼きそばとビールでしょ? それから、たこ焼きと焼き鳥を半分こね」
「わかった。……おやっさん。広島焼きと焼きそばとたこ焼き、焼き鳥盛り合わせ一つずつに、缶ビールと烏龍茶」
「あいよ。ちょっと待ってや」
目の前で広島焼きと焼きそばがジュージューと音を立てて焼き上げられ、ソースの香ばしい匂いが辺りに立ちこめる。たこ焼きと焼き鳥はできあがっている物が軽く火を通されてパックに詰められた。
烏龍茶と缶ビールと一緒に注文した品を二人で受け取ると、私達は赤い布が敷かれた長椅子に並んで腰掛けた。
「はい、これ」
私は財布から千円札を二枚取り出して響哉に渡す。
「割り勘にしなくてもいいよ。これくらい俺が出すって毎年言ってるだろ」
そう言って、響哉は私が差し出す代金を受け取らない。
「じゃあ、食後のかき氷。私が奢る」
「俺、まだイカ焼き食うぞ」
「私もフランクフルト食べようかなあ」
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