夜を染める花火は特別な夏

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「ねえ、上田(うえだ)君。重いでしょう? 私も持つわ」 「いいよ、平気だよ。それに、清水(しみず)さんも荷物持ってるじゃん」 「上田君は重いペットボトル何本も提げてるのに、私はポテチとか軽いものばかりじゃない」 「俺は男だからね、いいのいいの」  コンビニを出た後、そんな会話を交わしながら、傍らを歩く清水さんの横顔を俺はそっと盗み見る。  可愛いよなあ。  緩くウェーブのかかったミディアムヘアは紺色のカチューシャで何気にアレンジされているだけなのに、お洒落で様になっている。膝上のカーキ色のハーフパンツから細長い足がすっと伸びていて、シンプルなロゴ入りの白いTシャツさえ彼女が着るとスタイリッシュだ。 「清水さんは大学どう?」 「友達もできたし、講義もバイトも順調よ」 「バイトは何やってんの?」 「大学近くのダイニングカフェでウエイトレスを週四日」 「それじゃ毎日忙しいんじゃないの?」 「うん、今日は初めてシフト代わってもらっちゃった。せっかく久しぶりにこのメンバーで集まるんだもの」 「そうだな。卒業式以来だよな」  
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