美少女アンジェラ

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美少女アンジェラ

 リオの部屋は都心から二十分あまりの閑静な住宅街にある一軒家だ。 「うわァ、抜群の環境じゃないですか」  しかし事故物件だと思うとあまり気が乗らない。 「あのォ、ボクもリオさんのお宅へ入って良いんですか」  女性の部屋へ入るのは始めてだ。自然にドキドキしてくる。 「ダメよ。ポチはあっちに公園があるから、ほらァ餌を上げるわ。勝手に一人でお散歩に行ってらっしゃい」  リオは向こうの方を指差した。 「いやいや、愛犬のポチじゃないですよ。  せっかくですから、ボクも部屋へ入れて下さいよ」  憧れのリオの部屋へ入れるチャンスだ。またとない機会と言えるだろう。 「フフゥン、さァ、アンジェラもどうぞ」  リオはドアのカギを開けアンジェラを招いた。 「うン」アンジェラは笑顔で彼女の部屋へ足を踏み入れた。 「お邪魔します」ボクもアンジェラのあとに続いた。  玄関を入ると甘い匂いが鼻孔をくすぐってくる。香水の匂いだろうか。甘美でフローラルな(かお)りだ。リオの匂いかもしれない。匂いを嗅いでいるだけで昂奮してきそうだ。   「ンううゥ……」だがなにか怪しげな雰囲気だ。リオの言った通り、部屋へ入ると軽く目眩がしてくる。 「……」アンジェラも怪訝な顔でゆっくりと部屋の中を見回した。まだ引っ越して間もないのだろうか。無造作にダンボールのままの荷物も置かれてあった。 「どう、なんか異変を感じる?」   怪訝な顔でリオはアンジェラとボクに尋ねた。 「そうですね。ちょっと目眩がして気分が悪くなってきそうです」  ボクは率直に感想を漏らした。  特別、ボクは霊感が強いわけではない。  しかしそれでも何か雰囲気がおかしい事はわかった。 「ふぅン……、ポチもそうなんだ」  リオは苦笑いを浮かべ(うなず)いた。 「いやァ、ポチじゃないですけど」 「なるほど。わかったわ」  アンジェラは納得したように微笑んだ。 「えェ……?」 「すべての謎はこのの」  美少女は自信満々に笑みを浮かべた。
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