アンジェラ

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アンジェラ

「すべての謎はの」  アンジェラは自信満々に笑みを浮かべた。 「いやいや、いくら謎が解かれたがっているって言っても」  オカルト現象に答えなどあるはずはない。  いくら天才捜査官でも怨霊を捕まえるワケにはいかないだろう。それとも祈祷でもして除霊をするのだろうか。   「じゃァポチ。そこの冷蔵庫から缶ビールを取ってきて」  アンジェラは顎で指示を送ってきた。 「えッ、いやいや、何言ってるんだよ。アンジェラは未成年だろう。缶ビールなんてダメだよ」  これでもボクは刑事だ。目の前で女子高生が缶ビールを飲むことを許すワケにはいかない。 「ええェ……? どうして。アンジェラは、どこもかしこも大人なのよ」  美少女は唇を尖らせて不満を漏らした。 「いやいや、どう見ても子供だろォ」  初めてあった時は、中学生かと思ったくらい童顔だ。  こんな美少女が缶ビールなんて(もっ)ての(ほか)だ。 「フフゥン、ポチが知らないだけでアンジェラは」  美少女は妖しく微笑んだ。 「いやいやァ、ジョークにならないって」 「わかったわよ。別に缶ビールじゃなくても缶コーヒーでも缶ジュースでも構わないわ。  取ってらっしゃい」 「ううゥ……、わかりましたよ」  ボクは渋々、冷蔵庫まで行ってドアを開け中を覗いた。缶ビールやミネラルウォータのペットボトルが並んでいる。 「フフ……、あんまり冷蔵庫に入ってないでしょ」  リオは恥ずかしそうに苦笑した。 「いえ、ハイ、これで良いか」  ペットボトルのオレンジジュースがあったので手に取ってアンジェラへ見せた。 「ううン、ペットボトルじゃなくて缶コーヒーか何かないの?」 「えェ……、缶じゃなきゃァダメなのかよ」  何なんだ。注文の多いヤツだ。 「ハイ、これで良いか」  一本だけ、缶烏龍茶があったので差し出した。 「ああァ、それで良いわ。じゃァ、その缶を床に置いて」  また顎で命じられた。 「ぬうぅ、これを床に。何だそれェ……?」  仕方なく缶を立てて床へ置いた。 「あ、ダメよ。床に立てちゃ」  すぐさま注意された。 「え、じゃァ、どうしろって言うんだよ」 「横に寝かすように置いてよ」  手で横にするようにジェスチャーをした。 「はァ、寝かすように」 「ええェ……、そうすれば、オカルト現象のわ」  アンジェラは自信満々に微笑んだ。 「な、なにィ……、マジかよ」  ボクは半信半疑だが、言われた通り缶を床に倒した。これで何がわかると言うのだろう。 「手を離して」 「あ、ああァ……」ゆっくりと手を離すと缶はコロコロと壁の方へ向かって転がりだした。 「フフゥン」アンジェラは楽しげに笑みを浮かべた。 「あれェ……?」なんでだろう。もう一度、缶烏龍茶を手に取って元の場所へ横にして置いた。 「フフ……」またアンジェラが微笑んだ。 「あ!」  手を離すと、また同様に缶がコロコロと転がり始めた。 「そうか。わかったわ」  突然、横にいたリオが声を弾ませた。   「ぬうぅ、そうか!」  やっとボクも不可解なオカルト現象の謎が解けた。
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