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日付が変わる。
「おめでとう。私」
デートから帰ってきたくぐいはお風呂に入っている。
一人で誕生日を迎えた私は、部員みんなが登録している小説投稿サイトを開いた。
吉村くんの新作がアップされていた。
『小夜曲』
それが彼の小説のタイトルだった。
読み進めていくうちに、私の心は満月の海のように漣がたってきた。
「双子の妹」を探している男の子の話だった。
彼の双子の妹は、同じ親から生まれた妹ではない。
彼が生まれたとき、隣の部屋で同時に産声をあげた女の子のことだった。
二人が生まれた時刻は、深夜二時四分。
吉村くんは、私が生まれた日も時刻も知らないはずなのに、これはどういうことだろうか。
私の胸は静かに波打ちながら、夜を越した。
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