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真夏の夜
タイマーは切れていた。
エアコンからの風は途切れ、首筋の汗を手の甲で拭う。
「あっつ!」
北の方の生まれの小夜には
東京の夏は耐え難いのだ。
節電と言われても、エアコンは止められない。
と言っても朝までかけると体調が悪くなるからタイマーにしてみるが、案の定真夜中に目が覚めてしまう。
薄明かりの中、朝顔の青が浮かぶ。
明日の花火大会に
雄介と行くため
引っ張り出した浴衣の柄は、青い朝顔。
「帯の結び方、忘れちゃったな」
昔、母親から「浴衣くらい着られる様になりなさい」って教わったっけ。
「まぁ、良いや。YouTube先生が教えてくれるから、明日朝起きたら調べよっと」
湿ったTシャツの裾で、頬の汗を拭いた。
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