麦の音

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 ドーンと花火が打ち上げられた。ドーンドーンと次々に、豪華に咲いては朽ちていく。  私、明日アメリカに行くの。帰って来れる確率は20パーセント。  私、明日アメリカに行くの。帰って来れる確率は20パーセント。  頭で何度か反芻(はんすう)したが、どうにも上手く解釈できず、俺の顔は歪むだけ。 「は……?」  喧嘩を売っているかの様な酷い顔を麦に向けると、彼女の目元は(せば)まった。が、すぐにその視線を空へ投げる。 「わあ、綺麗っ♪」  この場面には不適切な音符マークを語尾に付け、パチパチと拍手だって贈る麦。  何言ってんの、何やってんの。俺はそんな彼女に苛立った。 「なに言ってんだよ麦っ!どういうことかちゃんと説明しろよ!」  麦の音符マークが不適切ならば、俺の怒号だって不相応。夏の風情を楽しみに訪れる今宵の海辺は、声を荒げる場所ではない。  歌詞の理解できぬ洋楽が、何だかやたらと耳につく。そしてどうしてだかこんな時に、思い出されたのはこの会話。  大地はどっか行くのー?この休みー。  決まってねー。麦んちはー?  私ー?私はねー。  もう一件、聞き逃していたのはこの回答。そしてこの回答とは、日本からでは目視もできぬ「アメリカ」だ。
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