33人が本棚に入れています
本棚に追加
ドーンと花火が打ち上げられた。ドーンドーンと次々に、豪華に咲いては朽ちていく。
私、明日アメリカに行くの。帰って来れる確率は20パーセント。
私、明日アメリカに行くの。帰って来れる確率は20パーセント。
頭で何度か反芻したが、どうにも上手く解釈できず、俺の顔は歪むだけ。
「は……?」
喧嘩を売っているかの様な酷い顔を麦に向けると、彼女の目元は狭まった。が、すぐにその視線を空へ投げる。
「わあ、綺麗っ♪」
この場面には不適切な音符マークを語尾に付け、パチパチと拍手だって贈る麦。
何言ってんの、何やってんの。俺はそんな彼女に苛立った。
「なに言ってんだよ麦っ!どういうことかちゃんと説明しろよ!」
麦の音符マークが不適切ならば、俺の怒号だって不相応。夏の風情を楽しみに訪れる今宵の海辺は、声を荒げる場所ではない。
歌詞の理解できぬ洋楽が、何だかやたらと耳につく。そしてどうしてだかこんな時に、思い出されたのはこの会話。
大地はどっか行くのー?この休みー。
決まってねー。麦んちはー?
私ー?私はねー。
もう一件、聞き逃していたのはこの回答。そしてこの回答とは、日本からでは目視もできぬ「アメリカ」だ。
最初のコメントを投稿しよう!