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笑い合い、紅茶を飲み終えて、宇実は要に訊ねた。
「もうそろそろ、帰った方がいいんじゃない? 家族が、心配しない?」
「今は、マンションに独りで住んでいるんだ。この近く」
「同じだ。僕は、アパートだけど」
自立するため、要は使用人も置かずに初めて1人で暮らし始めたという。
「少し寂しいけれど」
「そうだよね」
「宇実は、お母さまはいないのかい?」
「母さんは、僕が小さい頃に交通事故で」
ごめん、と要は謝った。
「何だか、君を傷つけるようなことばかり言っている」
「大丈夫だよ」
宇実の母は、確かに死んだ。
だが、亡くなるまでの温かな思い出を、たくさん宇実に残していた。
「だから、気にしないで」
「ありがとう。宇実は、優しいな」
そう言う要の声の響きの方が優しい、と宇実は考えていた。
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