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「え!? 天羽くん、もう高校卒業してるの!?」
「うん。実は、他校をこの春で」
国内でも有名な学校の名を聞き、宇実は二度驚いた。
「海外の大学に内定してるんだけど、あちらの入学は秋なんだ」
「外国、かぁ。すごいね」
オメガとは言え努力を重ね、成績は学年でトップクラスの宇実も、これには唸った。
(上には上がいる、か)
そしてやはり。
「天羽くんは、もしかしてアルファ?」
「うん。よく解ったね」
「解るよ……」
精悍な顔立ちだけでなく、その体躯もがっしりとした要だ。
身長は、きっと180cmくらいあるだろう。
並んで歩く二人だが、宇実の影は要よりずいぶん小さかった。
(僕がオメガだと知ると、天羽くんは傍から去って行くかもしれない)
学校のアルファやベータには、露骨にオメガの宇実を下に見て嫌う生徒がいる。
要を試すつもりもあって、宇実は自分の第二性を打ち明けた。
「僕は、オメガ。小さいから、解るよね」
「そう。でも人間は、第二性だけじゃ測れないから」
だから、気にすることは無い、と要は言う。
「清水くんは、親切でいい人だよ。こうして私を、学校まで案内してくれるんだから」
「ありがとう」
宇実は、ホッとしていた。
(天羽くんは、差別をしない人なんだ)
それだけで、目の前が明るくなった。
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