裏切られた女

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 結局、この友人は志野からいろいろ聞いていたのだそうだ。いつ連絡を仲介しようか機会を窺っていたらしい。無責任な奴じゃないししっかりしてるから連れてきても問題ないやろ、と思ったのと志野は本気で私を心配していたという事だった。志野なら大丈夫だよ、と言われて私も腹をくくった。   私の家に挨拶に来た時は父の「娘を幸せにできるか」という問いに「彼女一人を幸せにできるかはわかりませんが家族全員で幸せになる自信はあります」とあっけらか~んと言ってのけ、両親はなんかツボに入ったらしい。あっという間に仲良くなって宴会が始まった。  嫁入り前の娘を妊娠させるなんて許さん、と息巻いていたオヤジとは思えない。なんやかんや、初孫を喜び式はいつにしようかとかウキウキで準備を始めたのは私の両親と志野の両親だった。 「何で当人たちより両親がノリノリなの」 「いいんじゃねえの。ああいうのはやりたい人に任せるのが一番楽だし手っ取り早い」 「確かに」  あれから五年経って私は今三人目を妊娠している。最初の子供が実は双子だとわかり、本当に激動だった。大変すぎて妊娠時期と出産後三年間くらいは大変だった以外の記憶がない。保育園に通い始めた子供たち。時間に余裕ができてようやく妊婦生活を満喫(?)している。  旦那はまあ、相変わらずお互い恋愛感情はないけども。なんていうのかな、あの激動をともに切り抜けた戦友みたいな感じだ。まさに背中を預けられる関係、子供たちをバケツリレーのようにお風呂に入れミルクを飲ませて寝かしつけてミッションコンプリート、と乾杯してたのが懐かしい。  夜泣きの時は襲撃だ! と飛び起きて連携していろいろやって。なんか状況似てるよね、と始めたFPSのゲーム大会ではチーム優勝までした。子育てはチーム戦だなと改めて思った。  痒いところに手が届くと言うか、変に気遣いしないから言いたい事言い合える相棒というか。ここに来てようやく結婚ってそんなもんだなと納得した。
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