裏切られた女

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 ありったけの思いを込めて作った。こんなものを頭から降り注がれたら、本人たちがどう思うかよりも周りの人がどう思うかだ。なにこれ、何の冗談? その後の二次会などでも話のネタにされて心当たりは何かないのかと二人に聞いてくるに決まってる。  やりすぎると犯罪になってしまうが、子供のいたずら程度の内容だったらたとえ私がやったとバレても警察沙汰にはならない。要するに犯罪にならなければ良いのだ。勝手に侵入したということで厳重注意をされても、具体的に何罪にあたるかというと該当するものはない。  クラウドソーシングを探していたら案の定見つけた。結婚式で友人のふりをして参加してもらえませんかという依頼だ。歳は二十代前半、男女合わせて十人ほど。申し込みをしてあいつらと直接面識のない大学の時の友達に頼み参加してもらった。人数もきっかり十人、全員仕掛け人だ。詳しい話を聞いてきてもらって当日は私が一人とすり替わるという作戦だ。私の事情を知っている友達は応援をしてくれているけれど、これでスッキリさせてもうあいつらの事なんて忘れちゃいなよと心配そうに言ってくれた。……よほど、ひどい顔をしているのだろう。涙は出ていないけど、泣きたいのかもしれない。  そして結婚式当日。女の化粧の力というのはすごいものだ、男の方は絶対に気づいていないし女の方も結婚式ということで浮かれていて私の存在に全く気づいていない。というより周囲の事などどうでも良いのだろう、自分たちが幸せなら。  式が終わり披露宴が始まる前にフラワーシャワーの演出となる。先に配られていた花びらを全て隅に寄せておいてこっそりみんなに紙吹雪を渡す。そしてあいつらが歩いてきたところでみんな一斉に紙を頭上に向かって放り投げた。その量はあまりにも多く目の前が紙で見えなくなるほどだ。  紙には赤い文字で「呪」と書いた。私の手書き。印刷でもよかったんだけど手書きの方が気持ち悪いだろうなと思ったから、正直徹夜して今すごく眠い。 普通よりも多すぎる量にあいつらは目を白黒させているようだった。そして紙を見た友人がぎょっとした様子で私に耳打ちをしてくれる。 「ちょっとちょっと、字間違ってる!」 「え」 チラリと紙を見るとそこに書かれていたのは「祝」 盛大に祝ってるじゃねえか。やっちまったZE★ 頭の中で天使がラッパを吹いた気がした。
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