わたしの騎士

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わたしの騎士

わたしは全てを知って涙した。 アオくんがこんなに辛い思いをしてた なんて知らなかった。 「それで、過去に戻ったんだね?」 アオくんは辛そうな顔で頷く。 「そんな顔しないで、アオくん。」 わたしはアオくんの頬に手を伸ばす。 「わたしを救おうとしてくれてありがとう」 アオくんはわたしの左手に自分の頬を押し付けた。 「あら!」 その声に振り向くとお母さんがドアの前に立っていた。その後ろにはお父さんもいる。 わたしは慌てて手を戻した。 「陽香!!!目が覚めたのね?!」 お母さんが抱きついてきた。 「良かったわ、本当に。一時はどうなることかと」 「あぁ、本当に良かった。」 お父さんが涙声で言う。 「心配かけてごめんなさい、お父さん、お母さん」 お母さんから体を離し、アオくんを見る。 「アオくんが助けてくれたの」 『え?いや違います!!』 アオくんが胸の前で違いますと手を振る。 ごめんね、アオくん。 わたしもうあなたを傷つけたくないの。 「違わないよ、アオくんはわたしを助けてくれようとしたじゃない。」 にっこり笑う。 「あら、アオくんが助けてくれたの?」 お母さんはアオくんの両手を握りしめた。 「本当にありがとうね」 「ありがとう」 お父さんが感慨深い口調で言った。 アオくんは泣き出しそうな顔になり 何度も頷いた。          ◆◆◆◆◆◆ 一ヶ月後 わたしはアオくんと一緒に帰っていた。 柚月も誘ったんだけど、わたしたちに気を遣って 一人で帰っちゃった。 『はるちゃんが元気になって本当によかったよ』 にっこり笑う彼にわたしは笑い返した。 「ふふふ、わたし自然治癒力高いからね!刺し傷の一つや二つや三つや四つ簡単に治しちゃうもんね」 『いや、もうあんな目に遭うのは勘弁して……』 「あははっ、今度は死なないから!」 『でも、心配だよ』 心配そうな顔をするアオくん。 もうっ可愛いなぁ。 「だいじょーぶ!今度はアオくんが 守ってくれるでしょ?」 振り向き笑いかけると アオくんは微笑んだ。 『うん。何度でも守ってみせるよ』 その言葉にわたしは嬉しくなって彼に抱きついた。 「アオくん、大好き」 彼には聞こえない。 だから、わたしは自分を指差し、アオくんを指差し、 首の前でVを作った。 彼は真っ赤になる。 その手話の意味は 『わたしは君が好き』 ねぇ、今度もわたしを守ってね。 わたしの騎士(ナイト)さん。 終わり
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