3話

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ヨシュアによると、各区で雰囲気や建物が異なるらしい。 第一区は年季の入ったコンクリート製の家が所狭しと建ち並んでいる。窓際に植物や洗濯物などがあり、貧しいながらもどこか穏やかな雰囲気が漂っていた。 「おい、大丈夫なのか、ここ第一区だぞ。あのヤベェガキが首切ってくるんじゃ」 「区内の人間に招かれた以上、大丈夫だと思いたいが……最悪、少年は俺達に脅されただけで無関係で通そう」 2人でコソコソと話しつつ、ラオと名乗る少年に連れられたのは、5階建てアパートの2階だ。 4畳ほどのワンルームで、中央には円形のテーブルが置いてある。 好きに座って、といいながらお茶やお菓子を取り出すラオは、あまり人を招くのに慣れていない様子で、案内もたどたどしい。しかし、どこか嬉しそうだった。 「へー、じゃあヨシュアが記者で、ウィルがボディーガードなのか!」 「そうだ」 ヨシュアの顔に出来た傷を手当しつつ、こんな街に何をしに来たのかとラオは問いかけた。それに対して、ヨシュアは適当な噓をつく。 ボディーガードなのは間違いではないが、記者、という如何にも怪しまれそうな部分に、ウィリアムは引っかかっていた。 (いや、こいつの怪しい見た目なら、いっそ記者の方が自然なのか……?) 顔を僅かに顰めるウィリアムに反して、ラオは素直に信じたようで、目を輝かせていた。 「記者!すごいな、じゃあ本も読めるのか?漫画もわかる?」 「わかる。読みたい漫画があるのか?」 ウィリアムをよそに、みるみる仲が良くなっていく2人。これは当面本題に入らない気だと察した彼は、自ら話題を切り出すことにした。 「おい、ラオ。ここのボスについて聞きたいんだが、最近変わったのか?」 前置きもなく話し始めた彼に、ヨシュアは固まったかと思えば、口に手を当てながらラオとウィリアムを交互に見た。明らかに慌てている。 先程まで楽しく漫画を読み聞かせてもらっていたラオは、顔を伏せ、ボソッと呟いた。 「死んだんだ。前のボス……は真柴に殺された」
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