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4話
「アイツはココの頭が殺された後、突然現れたんだ。兄ちゃんを呼び出して、それで……」
俯いたその表情は伺えない。声を震わせながら、拳を握りしめた。
「悪い、辛いこと思い出させた」
頭を下げるウィリアムに、ラオは弱々しく首を振る。
「いいんだ、この街ではよくあることだし。……父ちゃんも母ちゃんも、おれが小さい頃に死んだんだって。兄ちゃんも別に、血がつながってるわけじゃないし……」
幼いながらに怒りと喪失に満ちている彼に、2人は声もかけられない。
その沈黙に気づいてか、ラオはハッとした様子で顔を上げ、無理に笑ってみせた。
「ごめん、もう寝よっか。2人とも疲れてるでしょ!」
狭いけどごめんね、ラオはそう言いながら2枚の敷布団を敷いた。
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