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翌朝。
情報がもう少し欲しいと思った2人は、真柴に見つからないよう警戒しながら、区内で聞き込みを行うことにした。
ヨシュアの記者である、という偽りの身分は思いの外受け入れられ、収穫はかなりあった。
第一区 現当主 真柴 誠(ましば まこと)
この東洋の檻で起きた閣下の反乱後、前当主 李雲嵐を殺害、第一区の現当主となった。
皆に慕われていた雲嵐を殺害した反感は凄まじく、また、元々野良だったこともあり、就任直後は区民から石を投げつけられたり、家を壊されるなど、酷い有様だったらしい。
区内の評価は散々だが、ただ一点、真柴は毎日街の中を巡回しており、ルール違反の発見も早い。加えて厳しすぎるペナルティもあってか、以前より野良や他地区絡みの争い事は激減したという。
「真柴は他地区のボスの中で一番若いし女の子だ。舐められてもおかしくない。それでもこの区が平和を保てるのは、相当な実力の持ち主なんだろう」
「まぁ人間の首をあの若さで、一太刀で落とせるガキだからな……とんでもねぇ奴がいるもんだ」
「あまり敵に回したくはないな。早めに他地区の情報も集めて出ていきたいものだ……行く宛は無いに等しいが」
思うようにいかない状況に、ヨシュアは肩を落とし溜息をついた。
(こいつ、落ち込みやすいな……)
「あー……腹減ったし昼飯食おう、ほら、行くぞ。折角だからラオも誘うか?」
ウィリアムの周りにここまで落ち込みやすい人はいない。どうすればよいかわからず、とりあえず励ますように彼の肩を軽く叩いた。
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