4話

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ラオも丁度昼食を摂ろうとしていたらしく、3人で外食をすることになった。とはいえ、区内は家族で食事をとる人が多いのか、あまり飲食店は多くない。ラオの案内でたどり着いた店は中華なのか和食なのか、判別はつかない。漂う香りも様々だった。 お昼時のためか繫盛しており、テーブル席は埋まっていたため、3人はテラス席―といっても外に椅子とテーブルが置かれた簡素なもの―に腰を掛けた。 「メニューは、ラーメン、パスタ、オムライスとか!色々あるよ!おすすめはハンバーガーかな!」 「メニューの幅が広い」 「飲食店が少ないとこうなるのか」 適当に料理を頼んだ後、隣のテラス席に座っていた客から声をかけられた。 「あんたら、見ない顔だね」 その女性は深い赤色の布を頭から被っているが、見え隠れする目元からは、どこか得体の知れなさを感じられた。 「あぁ、取材で来てるんだ。この街を特集したいんだが、最近この区のトップが変わっただろ、どんなヤツなんだ?」 本日何度めかの質問に、女性は突然声を荒げた。 「あのガキ!ここの当主だか何だか知らないが、随分好き勝手やってくれてる!閣下に尻尾振って寝返って、そんなに区を仕切りたいのかね!?この前だって……」 女性は困惑する3人の空気に気づいたのか、ハッとした様子で声を鎮めた。 「あぁ、すまないね、大声出しちゃって。雲蘭のことは気に入っていたからさ」 「あぁ、いや、大丈夫だ」 話しているところに、注文したパスタとオムライスとハンバーガーが目の前に置かれた。自然と会話はそこで終わり、料理に手をつける。ウィリアムは大口でオムライスを頬張った。 「あーなんか久々にまともな飯だわ」 「確かに。俺は昨日船でクッキー食べたぐらいだな」 「クッキー?いいなぁ、美味しいよね!」 クッキーの一言にラオは目を輝かせる。予想外の反応に「そ、そうか?まぁ、確かに美味しかった」とぎこちなく返事をした。 「遠足かよ」 「い、いいだろ別に。あれは意外と腹持ちが良くてだ……ッ避けろ!!!」 ヨシュアが人差し指を立てながら説明をするのを途中で切り上げ、ラオの肩を掴み自分の方へ寄せ、横へズレながら、ウィリアムを蹴り飛ばした。 直後、大きな破壊音とともに、砂埃が舞う。 周りにいた客や、店の中の客までもが悲鳴を上げて逃げ出していく。 砂埃が徐々におさまり、全貌が見えてきた。 テーブルが、椅子が、真っ二つになっている。 丁度ヨシュアとウィリアムがいた位置だ。 中からユラリと立ち上がる――渦中の人物、真柴は鋭い目をヨシュアとウィリアムに向けていた。 「この前のネズミが……こんなところで何をしている!」
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