2話

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「うぇ……」 「しっかりしろよ、ガイドだろ」 顔面蒼白のヨシュアを引きずりながら、壁の内側に入る。 大勢の人間が、ジロジロと彼らを見定めていた。おそらく10分も経たないうちにだろう。 この土地についての情報を持ち合わせていないウィリアムはかなり不利な状況だ。そのためにもヨシュアにはしっかりしてほしいところだが。 その視線を察したのか、ヨシュアはよろけながらも説明をはじめた。 「……とりあえず、第一区に行こう。この島は大きく五区間に分けられている。それぞれにボスがいるんだが、第一区のやつは一番話がわかるはずだ。他は癖が強すぎる」 「なるほどな。で、今はどのあたりなんだ」 「第一区の手前だな。さっき話した五区間だが、この島全てを統治しているわけではないんだ。各区間――主に区と区の間は、誰にも統治されていない。”野良の住処”と呼ばれている。今はそこにいる。つまり――」 「おいおい、こんなところまで観光かぁ!?」 ヨシュアが言い終わる前に、柄の悪い男たちが通路を塞いだ。 皆、ニヤニヤしながら、切れ味の悪そうな刃物をぶら下げている。 「こうなるってわけか」 「あぁ。洗礼ってやつだ」 二人は背を合わせ、周囲を見渡す。 どうやら、視界に入る人々全員が自分達を狙っているようだ。見るからに弱っている老人さえ、こちらをギラギラとした目つきで睨んでいる。 「案内してやろうか?――勿論タダとはいかねぇがな?」 「案内は俺がするので結構だ」 「そうかい――じゃあ死ね!」 頭と思しき男の号令で周囲の人間が一斉に襲い掛かる。 「ウィル、こっちだ!走るぞ!あと俺は強くないので戦力として期待するな!」 「マジかよ!?もっと早く言え!!」
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