18人が本棚に入れています
本棚に追加
【アマネセル寮】
私は、ガバッと跳ね起きた。
珍しく、寝汗をかいていた。それも全身にびっしょりと。
なんだろう、嫌な夢でも見たのだろうかと思い寸前まで見ていた夢を思い出す。
―――「......何、死んでんのよ。私が守るって言ったじゃん。私が守られちゃ意味ないじゃん......やだよ。死なないで。生きてよ!!」―――
―――「ハハッ!面白いことになったじゃねぇか。バカバカしいな。守るはずの騎士が、守られるなんてな」―――
胸が苦しくなった。
なんでだろう。
たかが夢なのに、それが実際に起こるとは限らないのに、『あの人』を殺した人が誰かもわからないのに、なぜだか苦しかった。
気分が悪かった。
呼吸がうまくできなかった。
―――誰か、助けて!―――
だが、そんな思いも虚しく誰も私の状態に気づかない。
当たり前だろう、ここは個人部屋のベッドの上なのだから。
そんなことを考えている間に、更に呼吸がしづらくなっていた。
空気がうまく吸えなくて、たくさん吸う。
しかし、吸えば吸うほど呼吸が辛くなってくる。
―――やばい、死ぬ―――
___コン、コン
ドアがノックされる。
「おーい、アザレア?起きてる?」
ドアの向こうから声をかけてくる親友、フェノクリストに救けを求めるために
最後の力を振り絞り声をだす。
「た......すけて」
「は⁉アザレア、鍵開けて!!」
___そういえば、鍵をかけたままだった。鍵開けなきゃ
だが、私には立ち上がり鍵を開けに行くほどの力が残っていなかった。
どうしよう、と焦るが鍵あけの魔法があるのを思い出す。
「鍵を開けよ《クラヴィス・リベルタ》」
一気に空気を吸い、ドアの鍵が開くのを想像しながら一息で告げる。
すると、ドアの鍵はいともたやすく開いた。
開いた瞬間フェノクリストがこちらに向かい走ってくる。
「大丈夫⁉」
「だ........じ......ぶじゃ.......い」
「わかった、無理に喋らなくていい」
そう私に言うとフェノクリストは私の体を仰向けさせる。
そして私に対し魔法をかけた。
「病を治せ《マラディ・キュア》」
すると、私の呼吸は自由にできるようになった。
「過呼吸だったみたい、良かった無事で」
「ありがとう、フェノ」
「ううん、大丈夫。それよりそろそろ朝食の時間だよ。準備しなきゃ」
そう言いながらフェノクリストは立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!