Prologue

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  【アマネセル寮】 私は、ガバッと跳ね起きた。 珍しく、寝汗をかいていた。それも全身にびっしょりと。 なんだろう、嫌な夢でも見たのだろうかと思い寸前まで見ていた夢を思い出す。 ―――「......何、死んでんのよ。私が守るって言ったじゃん。私が守られちゃ意味ないじゃん......やだよ。死なないで。生きてよ!!」――― ―――「ハハッ!面白いことになったじゃねぇか。バカバカしいな。守るはずの騎士が、守られるなんてな」――― 胸が苦しくなった。 なんでだろう。 たかが夢なのに、それが実際に起こるとは限らないのに、『あの人』を殺した人が誰かもわからないのに、なぜだか苦しかった。 気分が悪かった。 呼吸がうまくできなかった。 ―――誰か、助けて!――― だが、そんな思いも虚しく誰も私の状態に気づかない。 当たり前だろう、ここは個人部屋のベッドの上なのだから。 そんなことを考えている間に、更に呼吸がしづらくなっていた。 空気がうまく吸えなくて、たくさん吸う。 しかし、吸えば吸うほど呼吸が辛くなってくる。 ―――やばい、死ぬ――― ___コン、コン ドアがノックされる。 「おーい、アザレア?起きてる?」 ドアの向こうから声をかけてくる親友、フェノクリストに救けを求めるために 最後の力を振り絞り声をだす。 「た......すけて」 「は⁉アザレア、鍵開けて!!」 ___そういえば、鍵をかけたままだった。鍵開けなきゃ だが、私には立ち上がり鍵を開けに行くほどの力が残っていなかった。 どうしよう、と焦るが鍵あけの魔法があるのを思い出す。 「鍵を開けよ《クラヴィス・リベルタ》」 一気に空気を吸い、ドアの鍵が開くのを想像しながら一息で告げる。 すると、ドアの鍵はいともたやすく開いた。 開いた瞬間フェノクリストがこちらに向かい走ってくる。 「大丈夫⁉」 「だ........じ......ぶじゃ.......い」 「わかった、無理に喋らなくていい」 そう私に言うとフェノクリストは私の体を仰向けさせる。 そして私に対し魔法をかけた。 「病を治せ《マラディ・キュア》」 すると、私の呼吸は自由にできるようになった。 「過呼吸だったみたい、良かった無事で」 「ありがとう、フェノ」 「ううん、大丈夫。それよりそろそろ朝食の時間だよ。準備しなきゃ」 そう言いながらフェノクリストは立ち上がった。
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