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取材情報。
「…うーん、今日もだめだったか…。」
高畑はある家の前から去っていく。少し褐色がかったオレンジの外壁。横に向いたポストに住所が書かれている。
「…最近は物騒だし、知らん男がいたら基本対応しないよな。とはいえ、この家は特に警戒心が強そうだな。」
高畑は聞いていた『鈴野』さんのお宅を訪ねていた。しかし、鈴野さんの人に会えたことはここ数日で一度も無かった。
高畑はスマホの画面を確認する。
「おっと、いけない!3代目の取材の時間!」
高畑は急いで銭湯へ向かった。
車を運転しながら一人高畑はぼやく。
「…しかし、成美のやつ。よく取材へこぎつけたな。見た目は可憐で少女みたいだが、中実は物怖じしない、ズケズケした感じだから。まぁ、…それは一緒に仕事をしないとわからないか。」
高畑は車を停めて銭湯へ入っていく。受付けから言われたとおりに連絡し通常通らない従業員通路を通る。
タオルから自販機の補充用具が並び、ボイラー、エアコン、水圧水温を管理する機械など裏には綺麗で快適な銭湯環境を整える物がたくさんだ。
そして奥の部屋に入る。
「おまたせしました。」
高畑が入ると成美が立って待っており、あのハカセみたいな遊矢が大きなソファのような椅子に深く腰掛けている。
「…雑誌『ソウ』の高畑です。」
高畑は笑顔で名刺を差しだすと遊矢は立ち上がり高畑の顔を確認した。そして小さくため息だ。
「…成美さんの上司というから…期待したら…まさかあなたか!男の人を覚えるのは苦手だけど、足湯に近づいていこれだけ背の高い人は流石に覚えていたよ!」
「へへ、あの節はすみません。」
「まったく。」
遊矢は椅子に座り高畑と成美も座って取材を始める。
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