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男性は『口裂け女』の昔の記事を現代風にアレンジをしていく。
「…あー、デザインどうしよう?」
男性は頭をかく。そして席を立つと別の原稿を進めている女性の所へ。男性の机と違い整理整頓、綺麗にさっぱりでまるでここだけ異空間のようだ。後ろ姿も一つに結んだ髪がなんとも凛々しい。
「成美さん、少しモデルやってよ。」
「嫌です。」
「…いや、女性は成美さんしか今いないから。」
すると女性は椅子ごとくるりと回って睨むようにする。
「高畑さん!何でまたそんな有る事無い事書くんですか?」
「いや、そういう記事だろ?」
成美は小さくため息だ。
「記者なんだから、正しい情報出そうと思わないんですか!?」
「いや、そりゃそうだけど、『ソウ』なんてあるかないかわかんないからいいんじゃない?」
「まことしやかに言われているのと脚色は違います。あと、髭もそってきてください!」
「…。」
高畑は自分の顎を摩り、硬い毛を確認した。
「まあ、今回だけは頼むよ。」
「嫌です!」
そう言って成美はパソコンに向かっていく。高畑は覗き込むようにすると、そこに書かれている記事を見る。20年前の強姦事件の呪いという形で取り壊されないホテルの記事だ。未だに女性の声や姿が現れるという噂が。
「相変わらず成美さんもそういうリアルな記事を追いかけるの好きだよね。」
「こういう未解決や警察が相手をしてくれないような事の真実を突き止めたくて仕事してるんです!」
「さして『口裂け女』と変わらないけどな。」
成美は高畑を強く睨む。高畑はお手上げだ。
「ごめん、ごめん。」
高畑はそういって離れていく。
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