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「…そうなんですか…。」
高畑はふーっと息を吐いた。それで自分が熱い湯に我慢して浸かっていた事を思い出して少し身体を出す。
おじさん達は高畑を追いかけるように風呂から出て足湯の建物を見ながら話を更に続けた。
「それから…あそこが呪われただの言われたのは。」
「まだ…続きが?」
「いや、遥斗君の件は始まりだ。」
「…あの後…白崎さんの旦那さんが亡くなったんだ。自宅で自殺らしい。風呂に頭を突っ込んで。」
「…。遥斗君の件を悔やんで?」
「詳しい話は分からんけどなぁ。そうじゃないかと。」
高畑は何とか忘れぬように頭に話を入れていく。ここではスマホもメモも取れないから。
「まぁ、そんなだから足湯で事故して、旦那さんが死んだなんて言うからさ、2代目の和人さんはこの足湯を立ち入り禁止にした。そして直ぐに取り壊す話をしたんだと。しかし、…和人さんも亡くなったんだ。」
「それは…どうして?」
「詳しい話は知らんが、ここを壊そうとしたからと。それで3代目の遊矢さんはここを残したまま改装したんだと。」
「だから…触れないで下さいか。」
高畑は薬膳漢方の足湯の看板を見つめる。改めて見るとかなりの大きさの建物だ。一軒家とはいかないが小屋だ。
「…まぁ、俺は触れちまってるけどな。」
高畑は呟きながら風呂を出ていく。そして休憩所で直ぐにスマホを取り出して、聞いた内容を間違いなく整理していく。
「…足湯で子どもが死亡…。父親も、建物を壊そうとした人も死亡…。これはいい話になりそうだな!」
そう言って横にある3代目のパネルの顔を見る。
「…あんたにも…話を聞かないといかんな。」
高畑は立ち上がり銭湯を出ていった。
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